佐々木直人 揖保川病院臨床心理士

トレーニングを受けて特に魅力を感じたのは、クライエントの“楽さ”を重視するところです。トラウマや苦痛な感情・感覚を処理していく過程は、時に苦痛を伴うものではありますが、BCTではクライエントの“しんどさ”を出来るだけマイルドにしていけるような工夫が凝らされています。実際の臨床場面でも、眼球運動がペンデュレーションの働きをすることで、負荷をかけ続けることを避けれたり、心地良さを感じるタッピングポイントに絞ったりすることで、活性化を高め過ぎずに進めていけるケースが多いです。マイルドなブレーキをかけやすいと感じており、使っている私自身にも安心感があります。  クライエントの苦痛度が早く和らぐ点も大きな魅力です。ワンセッション使ってじっくり深く処理することも出来ますし、クライエントの状態によっては、短時間だけ処理し、安定化やリソース喚起のための時間を多くとることも可能です。短時間で苦痛が和らぎやすいため、その時折のクライエントの状態に合わせて活用しやすいです。また、ディープボディーコネクト(DBC)の処理の深さには驚くことも多く、長年苦しめられていた思いがワンセッションで大幅に和らいだケースもありました。  処理中の負担が少ないことや、苦痛が素早く和らぎやすいこの技法は、クライエントにとっても治療者側においても”楽”と感じており、これからも使い続けていきたいと考えています。